幼児期の子どもが面会交流を嫌がる場合

3歳になると、まだまだ自己中心的ではあるものの、他者の存在が、しっかりと見えるようになってくるころとされます。

羞恥心や罪悪感、自尊感情も芽生えてきます。

自分に非があっても自分は悪くないと主張しますが、

『自分もできるようになりたい』

『みんなに認められたい』

という願望の裏返しだとされますので、

共感の言葉をかけながら、気持ちを立て直させる促しが大切です。

5歳からは、相手の考えと自分の考えが違うことがわかるようになり、相手の気持ちを推測することができるようになってくるとされます。

思いやりや共感はこの時期から生まれてくるそうです。

子どもが「それって、どういうことだろう?」と考えたり、相手の気持ちを推測することができるようになり、物事がわかりだす年齢です。

子どもはルールを守ることができるようになりますので、両親は面会交流のルールを守り、子どもの良きお手本となっていただきたいと思います。

また、社会的モラルを身につけさせるには、子どもが、しつける側の行動をモデルにして、社会規範や価値観を自分の中に取り入れるとされるため、両親がモラルある行動を示していくことが大切です。

この3歳から6歳までの子どもが面会交流を嫌がるようであれば、それは子どもの問題ではなく、親同士の紛争・葛藤による、親の問題であると考えられます。

子どもは社会性が育ち始めたものの、まだまだ善悪の判断は大人にゆだねるしかありません。「どうして嫌なの?」と聞くと「だって、ママ(パパ)がそう言ったから」という権威主義的な答えが返ってきます。これでは、自分の責任を大人まかせにしているにすぎません。

子どもが自分の正直な気持ちを表現することは、自分への誇りや自尊心を育むことにつながりますので、大人の意向に沿わなかったとしても、子どもの正直な気持ちをくんでいただきたいと思います。

相談を受ける中で子どもが嫌がっているのに面会交流をするのが本当に子どもの福祉なんですか?と訊かれます。

もしも、あなたが父母のどちらかを選択しなければいけなくなったとしたら如何でしょうか?

父母のどちらかと離れなければならないのなら、離れる理由を見つける必要がありませんか?

父、あるいは母と離れ離れになるわけですから、理由が無いと自分の心のバランスがとれません。

ですから、離れて暮らす親を嫌いだから離れるんだ、と言う理由付けをする傾向がみられます。

また、離れて暮らす親がいかにひどかったのかを伝えられた場合、「ああ、そんなにひどい親なんだ」と、それを鵜呑みにします。なぜならば、それが離れる理由となるからです。

では、親からのドメスティック・バイオレンス(DV=暴力やモラハラ)を実際に目の当たりにした子どもは如何でしょうか?

子どもは本気で面会交流を嫌がっています。

暴力を振るわないでください。

それが親の責任です。

自分がなぜ暴力を振るうのか?それは、あなたの問題として向かい合ってください。

相談に来られる方で、子どもの頃に生き別れたDV親を大人になった今でも心底から憎み続けておられる方もいらっしゃるのです。

では、このお子さんが抱えてしまった心の傷は、どうしたら癒せるのでしょうか?

『うまれる』という映画があります。



この映画には、お母さんと生き別れになっている方が登場致します。

『うまれる』のHPから、以下、抜粋。

伴真和(まさかず)(31歳)、まどか(31歳)夫婦は、結婚して約1年。妊娠6カ月のまどかは、初めてのお産が楽しみな反面、さまざまな不安も抱えている。

なかでも一番の心配は、自分が果たして良い親になれるのかどうかということ。

いつも笑顔の彼女だが、実は幼い頃に母親から虐待された辛い経験を持ち、彼女が中学生のときに離婚して家を出た母親とは絶縁状態だ。

なぜ自分は母親に受け入れられなかったのか? 

その答えを求めるようにして助産師の道を選んだのだが、いまだに自分と母親との関係を消化できていない。

一方、真和は幼い頃から両親の不和を見てきたため、まどかと出会うまでは、結婚したいとも子供が欲しいとも全く思っていなかった。

そのせいか、父親になるという実感を持てず、妻のお腹の子は、あくまで「自分たちの副産物」でしかない。

戸惑い、悩みながらも、二人はどのようにして、母親、父親になっていくのか、そしてお腹の赤ちゃんの運命は...?

http://www.umareru.jp/story/


この映画の中で、ご本人も助産師さんも仰っていたのが、『自分自身の親子関係と向かい合って乗り越えていくこと』というもの。

これが、現場にいる者の声です。

父母子ども、それぞれの中に怨憎会苦・愛別離苦・求不得苦・五蘊盛苦を生む面会交流ですが、親子が向かい合う貴重な時間でもあります。

面会交流をしていても子どもが面会交流を嫌がる事例だっていくらでもあります。

お子さんが抱えている自身の気持ちを第三者がメンタルケアで汲みとりながら面会交流という親子の向かい合いかたを模索していくことは、お子さん自身が親子の問題を乗り越えていくための土台として重要であると言えます。

嫌がっているなら面会交流をしなければいいんだという、そんな単純なものではありませんね、私たち人の心は・・・・。


愛別離苦(あいべつりく) - 愛する者と別離すること

怨憎会苦(おんぞうえく) - 怨み憎んでいる者に会うこと

求不得苦(ぐふとくく) - 求める物が得られないこと

五蘊盛苦(ごうんじょうく) - 五蘊(人間の肉体と精神)が、自分でも思うがままにならないこと



■「子どもに会いたい親 子どもに会わせたくない親」
大正大学人間学部臨床心理学科
教授 青木聡 先生



■江崎路子先生
「子どもたちの不適応行動と社会の関連について」



■棚瀬一代先生講演会 「離婚で壊れる子どもたち」